覚え書きB | うわごと

うわごと

写真映像作家。大阪でギャラリーを運営しています。備忘録、自己の統計とするために、過去にWeb媒体に書き込んだ自分の発言をランダムに寄せ集めて掲載しています。ALL主語なし。
写真映像作家。大阪でギャラリーを運営しています。備忘録、自己の統計とするために、過去にWeb媒体に書き込んだ自分の発言をランダムに寄せ集めて掲載しています。ALL主語なし。

覚え書きB

26年前、母親が寝たきりになり介護生活が始まった。映画学校を出たら東京で脚本家の修行をする話しは諦めた。今も大阪を拠点にしてるのは介護があるから。僕は遠くへ行けない身の上なので、せめて自分が創ったものだけでも遠くへ行って欲しい。そう思って創っている。

そんなわけで僕自身は短い日数でさえも海外渡航の経験はない。日本の空気だけを吸って生きてきた。しかしありがたいことに自分が創ったものは、北米やアジアやヨーロッパで、確かにそこの空気を吸って、言語や文化の違う土地でちゃんと生きている。それだけでも嬉しいじゃないですか。

遠くへ届くというのは地理的なことだけではなく時間軸的なことも含んでいる。自分という人間が生き永らえる範囲を超えて、作品を未来の人たちに託すことが出来たら嬉しい。作品とは時の流れを漂う自分の遺伝子だ。誰かによって考え続けられる限り、その遺伝子は死なない。僕は生きていることになる。

そう考えると、自分が死んでからの人生のほうが、生きていた年数より長くなるのかもしれない。だったら、昨日や今日に辛いことがあっても、行く先は未来しかないんだから、すべて受け入れて生きる勇気が生まれてくると思う。そんなことを気付けるような、些細な発端を自分の作品に隠しておきたい。
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